Stiletto Boys・・・!活動は90年代後半から2000年。後にパンクの風景を一変させたExploding Heartsとは異なる非凡なセンスを持っていたにもかかわらず、人知れず消えていったペンシルバニアのこのパワーポップバンドを覚えておいででしょうか!?
そんな彼等の13年ぶりの復帰作がこちら。去年あたりから「Stiletto Boysが3枚目のアルバムを作っているらしい」という噂を耳にしておりましたが、とうとう出ました。
2000年にリリースされた彼等の大名盤2nd「A Company Of Wolves」はパンクと呼ぶにはあまりに優しすぎるボーカル、繊細で甘いメロディ、ポップパンクなのに何をどうやってるのかわからない天才的なアレンジで、初めて聴いた時は「BuzzcocksがParasitesやってるぞ!」と身震いしましたねえ。
そして今作の「Liberator」はそんな前作をも凌駕する傑作だと思います。
元々パンク度の低いバンドでしたが攻撃性はさらに減退し、メロディはより輝きを増しました。アルバムは全体的に速すぎず遅すぎずな雰囲気。そのおかげで彼等のメロディをじっくり堪能できます。
アルバムの頭を飾る「Cannon Fodder」はボーカルがでか過ぎて演奏がちょっと聴こえないんですけど、そこがなんか微笑ましくってほっこりしましたね。
続く「Basement」のギターソロのところで、メンバーが一人抜けたりして決して楽ではなかったであろうバンドの道のりとか、僕も彼等も歳をとったんだなあとか考えてしまって涙ボロボロになってしまいました。
ミドルテンポの「Kamikaze」にもウットリですよ。カミカ〜ズィ〜♪コーラスもちょっと可笑しい。可笑しいのにどうしようもなく悲しくて美しい曲です。
サビの解放感が気持ちよすぎる「Satellite」からのStiv Batorsのカバー「Not That Way Anymore」の繋ぎのかっこよさ。
元気いっぱいのイントロで飛び出す「Self Destruction」は気づいたら一緒に口ずさんでましたし、「Come What May」もなんてことのないポップパンクのようでいて怒涛の畳み掛けに圧倒されます。
アルバム一時間近くあるんですけど全然ダルさなど感じさせないのは、唯一無比なボーカルとギター一本で二本分弾いてそうな起伏の多いギターサウンドだからでしょうねえ。
長々と書いちゃって気持ち悪いですね。でもここまで読んでくれたなら、騙されたと思って聴いてほしいです。きっと、もっと騙されていたいって気持ちになるはずですよ!今度はもっと多くの人に届くといいですね、Stiletto Boysさん!
Not That Way Anymore