レコード屋さんのコメントなんかを見ると解散したと思っていたのは僕だけではなかったドイツのKIDNAPPERS。RIP OFFからALIEN SNATCHへ移籍しての3枚目のリリースとなります。
「4年ぶり待望の新作!」と歓迎したいんですが、正直いまいちなアルバムですこれ。
前作「NEON SIGNS」はロックンロール、70'sパンク、ガレージ、パワーポップを組み合わせ、そこに泣きのギターという隠し味を加え彼等独自のサウンドを組み立てることに成功、地味ながらもそこかしこに光るセンスを感じさせる良盤でした。
ですがこのアルバムからは「NEON SIGNS」の溌剌としたエネルギーは全然感じ取れません。
まず全体の演奏が元気ないです。爆音ギターは鳴りを潜め始終チャカチャカしてますし、ベースとドラムも勢いを押さえがち。ボーカルももうひとつノリが悪いです。
さらに致命的なのが速い曲が少ないことです。10曲中2曲という圧倒的少なさ。しかもその2曲でさえも前作に比べれば相当スピードダウンしています。
じゃあメロディーはどうだ?というとこれも微妙・・・インパクトあるイントロや、流し聴きしてても意識をもっていかれる印象的なフレーズもなし。うーん・・・もっとアレンジに時間をかけてもよかったのでは?(つってもコレ4年ぶりの新作なんだけど・・・)
一瞬で終わるギターソロ、しかしその一瞬に全てが詰まっている「NOTHINGS GONNA CHANGE」、ほっこりとしたあったかさと、そこはかとない泣きが感じられる「I WILL PROTECT YOU」あたりは正にKIDNAPPERSのロックンロールって感じなのですが、全体的に冴えない曲が多いのです。
MANIKINSが疾走ガレージの3rdからメロディー重視の4thへの変化したように、彼等も上手く路線変更出来ればよかったんですが、残念なことにこのアルバムは爆音ギターとスピードを手放した代わりのものが見えてきません。
よってKIDNAPPERSファン以外にはオススメしません。いつかまた「NEON SIGNS」のような傑作を引っさげて帰ってきてほしいです。いつまでも待ってるぜ!
Myspace←アルバムのダイジェストが聴けるんだけど、trainticketなんかと聴き比べてみるとテンションの違いが良く分かると思います。