ポートランドのパンクバンドWIPERSの1stから3rdを纏めたお得なBOXがこちら。NIRVANAがカバーしたことで有名になったバンドですが、その音楽性までは知られていないのではないでしょうか。リーダーのグレッグ・セイジさんによる爆音ギターと切羽詰ったボーカル、ポップだけどダークなメロディーがこのバンドの特徴です。
1stの「IS THIS REAL?」は上記の要素が詰まった名パンクアルバム。NIRVANAがカバーした「RETURN OF THE RAT」で幕を開け、ポップでシリアスなWIPERS流ギターポップの「MYSTERY」、地鳴りのようなベースとソロパートで爆音ギターが唸る「UP FRONT」、切迫したムードが満載の「IS THIS REAL?」、キャッチーな「TRAGEDY」と名曲が次から次へと飛び出してきます。重苦しい「D-7」もNIRVANAがカバーしていましたね。
2ndの「YOUTH OF AMERICA」はダークなメロディーとミニマルなリズムを突き詰めた大作志向に。こちらもまた傑作ですよ。10分に及ぶサイケナンバーの「YOUTH OF AMERICA」、ファズギターがかっこいい「CAN THIS BE」。極めつけは物悲しいメロディーと尋常じゃない緊迫感を放つ「WHEN IT'S OVER」。6分30秒もある曲ですが少しもテンションが途切れることは無いこの曲、WIPERSの曲の中でも屈指の出来だと思います。僕もこの曲が一番のお気に入り。
3rdの「OVER THE EDGE」は2ndとは打って変わって曲はコンパクトになりました。爆音ギターは鳴りを潜め、ガチャガチャと金属的なギターが目立ち、よりダークな内容に。若干音が篭り気味だからかもしれません。重くシリアスな「DOOM TOWN」、聴いていて不安になるイントロの「SO YOUNG」などに混じってウエスタンっぽいメロが印象的な「NO ONE WANTS AN ALIEN」や、しんみりとしつつも終盤でファズギター全開なバラードの「THE LONELY ONE」も新しい試みで面白く、この3rdもダークなパンクロックアルバムの傑作と言える出来です。
NIRVANAのファン、あとは「3×3×3」や「ミーのカー」のころのゆらゆら帝国が好きな人は是非。歴史に埋もれたバンド扱いなのが悲しいのですが非常に高い音楽性をもっていたバンドでした。現在アナログでそれぞれのアルバムが再発されているようなので環境が整っている人はアナログで聴いてほしいです。
MyspaceWHEN IT'S OVER