「百貫デブのメンバーがいるパンクバンド」 といえば、今の若いパンクファンだったらBOWLING FOR SOUPを思い浮かべるでしょう。しかし巨漢のパンクスを中心に構成されたパンクバンドは既に80年代に存在していたのです。1987年発表、パンク・ハードコア史に残る大傑作の2ndアルバム。こちらは再発盤です。
冒頭の「THE TEMPLE」からもうすごい。ジェリー・A先輩の熱いボーカルと、今は亡きピッグ・チャンピオン先輩の分厚いギター、さらに今作から加入のスレイヤー・ヒッピー先輩の超絶的なドラミング!つんのめるようなスピードで複雑なリズムを叩き出しているのに、しっかりとリズムをキープしています。このドラムのおかげでハードコアバンドにありがちな、悪い意味で一本調子な展開に陥ることも無くハードさの中にもしなやかさを感じるグルーブを生み出すことに成功しています。
「ROMANTIC SELF DESTRUCTION」のような肉弾ハードコアも魅力的ですが、ピアノによるインタールード的な「RITUAL CHICKEN」や、ババアの笑い声をサンプリングした「STEEL RULE」、さらにこの曲ではクラシックの「新世界」のフレーズをギターで弾いていて遊び心も満点です。ラストはTHE DAMNEDの「NEW ROSE」のカバーでシメ。本家より1.5倍くらい速く、そして男らしいアレンジになっており無茶苦茶かっこいいですよ。
個人的には「パンクなんて下手糞で聴いてらんねえぜ」というメタラーの方に聴いてもらいたいですね。このバンド、モーターヘッドのカバーもやっていますので、パンクとメタルの狭間を行き来するようなロックンロールバンドが好きな方ならまず間違いなく気に入ってもらえると思います。
MyspaceNEW ROSEのカバー